自動車ジャーナリストで日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員でもある
河口まなぶ氏による
弊社商品車アルファロメオ・スパイダー・ヴェローチェの
インプレッションです。
同型車種のご購入をご検討されている方は
是非ご参考にされてください。
アルファロメオ・スパイダー・ヴェローチェ(ブラック)
1993年式 18,000km 車検2年付
その歴史を紐解くと実に26年もの長きに渡って生産されてきたのがアルファロメオ・スパイダー。
1967年に登場し、時代に応じてデュエットと呼ばれるシリーズ1、コーダトロンカと呼ばれるシリーズ2、エアロディナミカと呼ばれるシリーズ3、そして最終モデルとなったシリーズ4と大きく4つに分かれる。
今回の試乗車は年式からも分かるように、最終モデルのシリーズ4である。
1989年のマイナーチェンジによってパワステ装着車や3ATが設定されたが、この個体はまさにその3ATを搭載したモデルだ。
まず驚くのがコンディション。
走行距離も奇跡の1万8000キロと、アルファスパイダーでは今後二度とは出会えないだろう距離の少なさ。それを静かに物語るのがエクステリア/インテリアの状態で、ともに約20年前のものとは思えないレベルにある。
ブラックの塗装は艶やかで、張り替えられたであろう幌はアイロンのかかったシャツのように折り目正しい状態だ。
しかしそれ以上に嬉しいのはインテリア。
ベージュのレザーとアルカンターラのコンビシートは運転席こそ乗り降りによって多少サイドサポートがヤレているものの、それでも極上のコンディションといえるだろう。
プラスチックパーツも年式を考えたら素晴らしい状態を保っている。
では実際に走らせてどうか?
まずATであることで気楽に乗れる点が大きい。
このクルマの場合、MTはやや華奢な感触があるため、クラッチ操作等で丁寧さが求められるがATならばそうした気配りから解放される。
つまり気軽にクラシックを愉しめるわけだ。
乗り味は現代のクルマからすると非常に繊細で、革の継ぎ目が一カ所しかない手触りに優れたステアリングを回せば、最近では皆無といえるスローなギア比ゆえの濃厚なフィールが味わえる。
そして動きのひとつひとつに味わい深さがあるため、エンジンは非力でパンチはないものの、スピードやパワーに頼らず楽しさを存分に享受できる。そして屋根を開ければ実に豊かな時間が流れ出す。
そういう意味ではこの個体は、バーゲンプライスながらも、まさに背伸びせず身の丈で楽しむことができるヤング・クラシックといえるだろう。
※このインプレッションは当該車両の状態や性能を保証したり、購入時の責任を負うものではありません。あくまで個人の感じた印象を記しています。