「ちょっとバブってる?」
思えば、それは夢のごとし…。
バブルの狂乱から早四半世紀。よくもまあ、あんなに肩パッドが入ったジャケットなんか羽織っていたなと感慨も深いところだが、狂乱の時代であり、また日本がすごく元気だった頃であったことは間違いない。暗黒の90年代中盤、ITバブルでちょっと持ち直した人もいたが、サッカーW杯の共催や冬季オリンピックがあったにもかかわらず、どうにも煮え切らないまま大震災…。
正直、海外にいてよかったと思ったことも多々あったものだ…。
ところが、である。
昨年ころからか、やはり東京オリンピックが決まってからなのか、にわかに夜の街のにぎわいが戻り、震災以降足が遠のいていた観光客もかなりの数戻ってきたようだ。
クルマに乗る人間としては深夜の交通量に一番にその違いを見出したものだ。
欧州の状況は、何度もここでお伝えしているようにかなり厳しいものがある。しかし、どこでどう儲けているのか、はたまた実はカネがあるのに使わないだけなのか、一部では高額車輌を買う人は増加しており、特に値打ちもののビンテージの引き合いはかなりあるようだ。そんな中、ヤングタイマー(70〜80年代くらいの名車)の価格も、それにつられて高騰しているようなのだ…。
いまや、高額車種の定番となった各種イタリアン・エキゾチックのみならず、アルファならジュリエッタ・スパイダーなどは元々だが、加えてジュリアTi、ランチアのフラヴィアやはてはデルタまで、高騰の一途をたどっている。
ちょっと前までは実は80年代のヤングタイマーを今買うのはリスキーだと思っていた。なぜならそれは、例えば60年代以前のように金属部品に代わり樹脂系の部品が増えたため、どうしたところで事故や経年変化による破損のリスクを考えると、購入にはもうひとつ積極的になれなかったのである。
ところがだ。昨年あたりから世界中を賑わせている3Dプリンターの登場で、その状況が一変しそうなのだ。
今年のデトロイトショーでもフルスクラッチというかフルプリンティングのACコブラが登場していたが、現代の高性能、高耐久性の樹脂を使って各種パーツを再生できるのだ。(オリジナルがあればの話だけど)
スペースエイジな内装を誇った、あんなクルマや、思わずうっとりの形状のバンパーだって寸分違わず新たに作り出せるのだ…。
さあ、あとは自分がバブるのを期待しつつ、まだ高騰していないヤングタイマーたちを物色する毎日が始まるのだった…。