- イタリア好きが嵩じてついにはフィレンツェに移住までしてしまったCollezioneイタリア特派員Noriによる、「イタリアよもやま話」。
- ちなみに「Bollito Misto」とはいわば「ごった煮」のこと。
- 自動車、自転車、食事にワインやサッカーはもちろん、たまには真面目な社会的な?お話を勝手気ままにお届けします。
こんな話をするからか、ようやくずいぶんと春めいてきた。
3月の雪も各地で見られたが、ともかく生き物は冬より春である。
前号、前前号で自転車について触れてきたが、今回はいよいよビンテージバイクである。
コレッツィオーネでクルマをお求めの方、もしくは80年代90年代の旧車をお持ちの方は、まず間違いなく鉄製ロードバイクの洗礼を受けた世代であろう。
たぶんにもそのノスタルジーが存在しているせいか、ここのところ「旧い自転車」をお求めの方々が本当に急激に増えている。
前号でお話をした「酒の肴」という意味であるが、その点スチールバイクは、パーツや溶接、そのシンプルなフォルムなど随所に「ネタ」が満載である。
自動車同様、イタリア、フランス、英国などは自転車メーカーのメッカであり、多くのファンが存在するのは御存知の通りだと思う。日本とは違い、ウェアなども相当安く購入できるし、どちらかと言うと非常に身近なスポーツという感じがある。
言い過ぎかもしれないが日本のママチャリくらいの気軽さでロードバイクに乗っているし、どんな田舎にもローカルなチームが存在していて、日曜ともなると公道封鎖で普通にレースもやっている。
そういう素地があるからか、当然のことながら昨今のビンテージバイクブームにも敏感で、いまやイタリアやフランス、スペインなど各地で同様のイベントが開催されつつある。
その代表格が、「L’Eroica」というわけなのだ。
世界中から集まる、洒落者で賑わうこのイベントの詳細は次号でお伝えするが、そのせいもあって、ビンテージバイクやパーツの市場には異常が起きている。
オールドイタ車ファン垂涎の自動車用ホイール「Campagnolo」(カンパニョーロ)も、もとは自転車のパーツ屋さん。
それこそちょっと前までは旧いパーツでもなんとか購入することができたが、今は程度の良い物を探すことなど、ほとんど無理になってきてしまった。
もちろん、今の製品の方が性能はいいのかもしれないが、まさにクルマと同様、絶対的な効率や速さではなく、何かしらの「重み」に皆惹きつけられているというのは紛れもない事実なのだろう。
自動車もそうであるが、「人の手」がかかった特殊なプロダクトというのは、特別な「念」というか想いが詰まっていて、独特の輝きを放つ。
それが「酒の肴」になるのだが、今はそれに加えてYoutubeなどの動画サイトや、いつでもどこでもこうしたインターネット・サービスが楽しめる環境と端末がある。
夜な夜な、こうしたブツや動画を眺めながら、美味しいワインというのも実にオツである。
次回は、洒落者イタリア人の「旧いものの楽しみ方」に触れてみたい。
それではまた近々
A prestissimo!