- イタリア好きが嵩じてついにはフィレンツェに移住までしてしまったCollezioneイタリア特派員Noriによる、「イタリアよもやま話」。
- ちなみに「Bollito Misto」とはいわば「ごった煮」のこと。
- 自動車、自転車、食事にワインやサッカーはもちろん、たまには真面目な社会的な?お話を勝手気ままにお届けします。
秋である。
天高く馬肥ゆる秋である。
食欲が刺激されてしまう秋である。
イタリアの秋、11月はまさに食欲のためのものといって過言ではない。
オリーブオイル、ワイン、ジビエ全般などこの11月というのは様々な恵みの収穫の時である。ようやくサマータイムが終わり(10月最終週の日曜)、朝晩の冷え込みもぐっと厳しくなり、いよいよ本格的な秋に突入するわけだ。
トスカーナ地方はとりわけ食の宝庫なので、この時期は一般の観光客的には閑散期に突入するのだが、やはり食いしん坊たちにとっては格好の季節であることには代わりはない。
私ももちろん、実際に住むまではこの季節のことを甘く見ていたわけだが、ある年に食したノロジカ(体長1.5mにも満たない小型の鹿)に完全にノックアウトされた。
赤ワインを用いて、8時間以上煮込む辛抱の料理であるが、素材の旨味を存分に活かしたこのノロジカは、ジビエの枠を大きく超え、肉料理でもトップクラスの味わいを見せる。
「この味と香りがお届けできないのは本当に残念です」
というセリフが心底理解できる、まさに百聞は一見に如かず、食べてみなければわからない絶品メニューの一つである。
そもそも、ジビエ全般はもとよりホルモン、つまり内臓&希少部位系もいただくトスカーナでは食に関しては本当に貪欲である。
間違いなく人生で最高と言い切れる豆が食べられたり、果物と間違えるほどの芳醇な味わいのポテト、野菜嫌いなど生まれようもないというほど、フルーティな野菜たち。
十把一絡げにイタリア料理というにはあまりに失礼なほどレベルの高い料理に巡り会える。
日本ではイタリアといえばミラノやローマが主要都市であるが、ローマが含まれるラツィオ州はともかく、ミラノのロンバルディアの旨い店というのは、実は程がしれている。語弊のないように言わせていただくと、カネさえ払えばそこそこのものは食べられる。事実、イタリアの魚介で最も新鮮なものはまずミラノに集まるとさえ言われる。(東京みたい)
しかし、正直領収書で食べないと厳しいようなレベルのお店だったりするし、その数も実に限られている。試しに「Slowfood」など信頼に足るレストランガイドの各州ごとのページ数を見ればすぐにご理解頂けるだろうが、割かれているページ数はトスカーナ州とプーリア州(イタリア半島のカカトの部分)が圧倒的なのだ。
それにしても「ウマい赤ワインにジビエで乾杯?」
実にバタ臭く嫌味な感じだが、実は日本でいうところの「地酒とホルモン料理」という感じだったりもする。
お値段も手頃で、旬のものを食べる贅沢は金額ではないことを思い知らされる。
先にも述べたが、この時期は実は航空券の価格も安く、旅行にはもってこいのタイミング。季節もよく過ごしやすい。
せっかく美味しいものを食べたいという向きには最高のタイミングだと思うのだが…。
それではまた近々
A prestissimo!