イタリアよもやま話〜Bollito Misto vol.56

      イタリア好きが嵩じてついにはフィレンツェに移住までしてしまったCollezioneイタリア特派員Noriによる、「イタリアよもやま話」。

 

      ちなみに「Bollito Misto」とはいわば「ごった煮」のこと。

 

      自動車、自転車、食事にワインやサッカーはもちろん、たまには真面目な社会的な?お話を勝手気ままにお届けします。

 

 

 

 

 

 

 

いやあ、大変なことになった。
これは禁じ手というか、こういうことは誰もが願っていながらも、実際には実現不可能とあきらめていたことが現実に起きてしまった。
なんと、フルレストアされたPeugeot 205GTIが当たるキャンペーンをはじめたのだ!

 

コレッツィオーネのサイトを見ていてくださっている人たちくらいの年齢なら、ほぼほぼ一度は洗礼を受けたことのある名車「プジョー205GTI」正確にはGTIという名称が30年ぶりに復活ということでのお祭りなわけだが、それにしても正真正銘のワークス(?)というか本家の新車ともいえる205GTIが手に入るとなると、否が応でもワクワクしてしまう。

 

 

 

 

 

 

この最新CMをご覧いただけるとわかるのだが、もろに当時話題をかっさらった初代205GTIのCMのオマージュである。最近、アウディ・クワトロやフェラーリ599のプロモーションビデオなどでも同じようなことをやっているが、これは完全にセルフカバーだ。
残念なのは先輩の205が実車による走りだったのに対し、CGという手の抜きっぷりがなんともはやという感じだが(現在の不景気では到底実車撮影など不可能)。ふとTVを眺めていて出会ったこのCMに、思わず斜に構えた感想を持つやいなや、「完全レストアの205GTIが当たる!」なんて言い出すものだから、本当にビックリした。

 

 

現在もプジョーファンの方々には申し訳ないが、この頃のプジョーxピニンファリーナというコラボは実に素晴らし「かった」と思う。過去形なのが失礼だが、正直なところ、今のプジョーデザインにはあまり萌え要素がないと感じている。

 

もちろん、乗れば格段の進歩も見られるし、経済性もかなりのものだ。しかし、やはりクルマはデザイン。とりわけこのころのシリーズは眺めて良し、走って良しと、イタリア車党を気取っていた私も、乗ると例外なく盛り上がっていたことを思い出す。
ラリーの世界でも80年代グループBを席巻した205だが、なにより多くのクルマ好きを喜ばせた運動性能と、ピニンファリーナの小洒落たボディが非常に魅力的だった。

それがプジョー自身の手で蘇るのなら、興味がわかないわけがない。(208GTIよスマン!)

 

以前もこのコーナーで欧州の旧車ブームについて伝えたことがあるが、ここに来て本当に盛り上がってきている。ともすると、そろそろお手頃な感じだったり、排ガス規制などでもうこっちでは乗れないものを日本で楽しもうかと思っていた矢先の出来事で、むしろこの先の相場の上昇が少々心配になってきた。
言い方をかえると、最近のクルマには全くと言っていいほど関心がなくなってきている風潮は否めず、正直クルマによるライフスタイルの差別化というのが難しくなってきている。欧州でそうなんだから日本じゃもっと厳しいだろう。

 

 

 

 

比較的ラクに旧車に乗れる環境にある日本は、ひょっとするとこれからブームが来るんじゃないか?
そう思えるほどの焦りをこのCMを見ていて思ってしまった。
もちろん、誰もが簡単に維持できるものばかりとは限らないのだが…。

 

 

 

 

 

それではまた近々

A prestissimo!