イタリアよもやま話〜Bollito Misto vol.6

イタリア好きが嵩じてついにはフィレンツェに移住までしてしまったCollezioneイタリア特派員Noriによる、「イタリアよもやま話」。
ちなみに「Bollito Misto」とはいわば「ごった煮」のこと。
自動車、自転車、食事にワインやサッカーはもちろん、たまには真面目な社会的な?お話を勝手気ままにお届けします。

 

 

 

 

 

 

 

なんと日本代表がご大会連続のW杯出場を決めた。
ドーハの悲劇までは、なんと遠い世界かと思ったものだが、気づけば「出るのが当たり前」くらいの勢いになっているのがなんだかスゴイ。
見渡せば多くの選手が欧州でプレーし、長友選手や香川選手にいたっては、本場欧州でもスーパー中のスーパーなチームで活躍している。
今ひとつ、ピンと来ないほどスゴイことだ。

 

というわけで、今回はサッカー、いやカルチョのお話。
私の住んでいる街、フィレンツェにはACフィオレンティーナというチームがある。
一流のチームではあるが、超一流ではない。そこがいい。来季の欧州選手権には祝出場を決めたし、たまにチャンピオンズリーグにだって出場することがある。しかも現イタリア代表の監督は我らがフィオレンティーナが泣く泣く惜譲した名将だ。
「実はいいものを持っている」、そんなチームがフィオレンティーナなのだ。

 

カルチョは、少々大雑把に言うと、市民のガス抜き的存在だ。勝ち負けに一喜一憂するのは当たり前、対戦相手によっては金曜からザワザワと盛り上がり、土日の試合でピークを迎える。月曜は各試合の反芻(反省ではない、見直し)、火曜日は問題点の研究、水曜日は次節への展望を踏まえた現状の再確認。とまあ、カルチョの国ったらそんな具合なのだ。

 

 

 

 

フィオレンティーナのティフォージはヴィオラ(英語のヴァイオレット、つまり紫色を意味するイタリア語)とよばれ、それをもじらせてヴィオレンティーナ(バイオレントな集団、つまり暴れん坊ファン)と呼ばれることもあるが、それは少々心外だ。

 

ルネサンスの街、美と美食の街。エレガンスの塊のようなこの街で、何がバイオレントかと?
ただ、ちょっとホームゲームの時には、相手チームのミスに対する“声援?”が刺激的か…、かもしれない。
公共の場では言及は避けるが、子供の喧嘩でも言わなさそうなことを皆で合唱することは確かだ。
しかし、なぜかTV実況中には聞き取ることができない。高度な技術で快適に試合を楽しめるようになっているのだ。
そう、フィレンツェって上品な街だからね…。
日々のストレスを吐き出す場のノイズは、お茶の間まではお届けしないのである。

 

観光のメッカ、フィレンツェにお越しの際、タクシーをご利用の際に、もし運転席周辺にACフィオレンティーナのグッズを見かけたら、運転手に必ずこう言ってあげてください。
「フォルツァ・ヴィオーラ!」(がんばれ、フィオレンティーナ!)と。
仕事の合間の一服の清涼剤となります。もちろんサービスも上がります。
場合によっては(女性の場合などは)お釣り多めの時もあります。

 

Forza Giappone! Forza Viola!
それではまた近々!
A prestissimo!