MASERATI GHIBRI GT 2.0 V6 6MT
年式:1999年
車体色:グリジオツーリング
走行距離:56,500km
排気量:1,990cc
かつてのスーパーカーの名前が復活したのは、1993年のこと。新生したマセラティ・ギブリは、2ドアのクーペとして蘇ったのだった。
モデルの変遷としては、ビトゥルボをルーツとして、222へと進化し、その後継として存在したモデル。そこに現代的でマッシブなデザインが与えられたのだった。
しかし登場から20年、この個体としても13年を経て今、改めて目にすると、その印象は決してマッシブではなく、むしろ現代では絶対に創れないだろうエレガントさに満ちたデザインだと確信できる。醸し出される雰囲気は、そこはかとなくしっとりとしたものがある。
そうしてドアを開けると、もはや言葉では言い尽くせない。艶やかな室内が目に飛び込んでくる。その色使い、素材使い、デザイン…あらゆるものがエレガントという言葉の具現であると思えるほどの素晴らしいインテリアなのだ。そしてコンディションも極上と呼ぶに相応しいレベルだった。
しかもこの個体は、日本へは正規輸入はなされなかった本国仕様の2.0LのV6ターボを搭載した、極めて珍しい1台である。
走らせた瞬間、とても優れた感触が伝わった。以前にこのギブリのエボリューションともいえるシャマルに試乗したが、このギブリはそれよりも低スペックなはずなのに、むしろこちらの方が力があるようにすら感じた。2.0LのV6ターボは意外にも常用域でのトルクがあって扱いやすく、伸びやかな感覚を持っていた。そして同時に、独自のサウンドを心にまで響かせてくれたのだ。
シャシーも想像以上にしっかりしており、高速道路でも落ち着いた感覚が伝わるだけのスタビリティを備えていた。
6MTという設定からすると、どうしてもスポーツ的な部分を意識するが、実はこのモデル、なかなかどうしてMTなのに優雅な走りを味わえるのがポイント。その意味では、走りそのものの優雅さと豊かさを味わうには他に似たものを見つけることができない、貴重な1台だといえる。そしてこのモデルもまた、記憶に残る濃さを備えた1台だっと報告できる。
こうしたクルマとの生活は、側にあるだけで目に見えるもの全てが変わる…そんな風に思える。
1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。
1997年よりA.J.A.J(日本自動車ジャーナリスト協会)会員、2009-2011AJAJ理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を2002-2003年度より連続して現在まで務める。
現在は、2010年に設立したweb上の自動車部「LOVECARS!」(http:/lovecars.jp )(部員1845名)を主宰し、メーカー/ユーザー/メディアの垣根を超えて”クルマを愛し楽しみ考える”を提唱し、様々な自動車イベント等を手掛ける。他に、スバルBRZのオーナーズクラブ『CLUBRZ』も主宰(http://clubrz.jp)し、600名以上の会員を擁してこちらでも様々な活動を行う。またFacebook上に「大人の自転車部」を設立し主宰、1050名以上のメンバーが参加している。その他に、新世代メディアを駆使して様々な表現を行っており、カービューでのブログ「まなブログ」は月20万アクセスを誇るほか、youtubeに自信のチャンネル「まなビデオ」は登録者数7500_人/月30万PV/再生回数1500万回以上を誇る人気チャンネル。ここでは全て自身で手がけた自動車動画の配信を行う。またユーストリーム上では週に一度「LOVECARS!TV!」をオンエアし、既に2年以上オンエアしている。その他自動車専門誌、web、TV、ラジオ、新聞、一般誌等様々なメディアへ寄稿/出演する他、ドライビングレッスンやインストラクターとしての活動も精力的に行っている。
(※このインプレッションは当該車両の状態や性能を保証したり、購入時の責任を負うものではありません。あくまで個人の感じた印象を記しています)