珍車を魔改造

Bollito Misto Vol.246

最も醜いとか散々なことを言われた、個性派中の個性派。二代目フィアット・ムルティプラ。

前後席に三名ずつ乗る、今どきではないスタイル、ヘッドライトはフロントガラスのすぐ下という珍妙さ。

そして、細道の多いイタリアでどうするんだというような幅広デザイン。

まあ、ここ20年のプロダクションモデルでは群を抜いたクセの強さを誇るムルティプラ。

ちなみにさすがに最近は少なくなったが、イタリアでは結構タクシーで活躍していた。

60年代にデビューした初代ムルティプラも相当とんがったMPV(マルチ・パーパス・ヴィークル)だったわけだが、この二代目もその意味では十分にその後継車としての任務を全うしたと言えよう。

個人的にはとても好きなクルマの一台だ。なんてったって、デザインがいい。クセが強すぎるがそれがいい。
買わないけど。

ちなみにイタリアでよりも東京の方が見かけるような気がするのは気のせいか…。

そんな珍車ムルティプラが、ちょっと話題になっている。

その名も1000Tipla(ミレティプラ)。

多様性だとかを意味するマルチプルという意味のムルティプラに、なんとシボレーコルベットC7 Z06の6.2リッター660CVのエンジンをなんと1000馬力にまでスープアップ。

見た目もこの通りの魔改造で蘇ったのだ。

フランスのぶっとびクルマ系人気YouTuber「Vilebrequin」(チャンネル登録者数206万人)が、予算5万ユーロではじめたこのプロジェクト。24時間で30万ユーロの投資があり、最終的には100万ユーロを超えたという驚きのプロジェクトだったりする。

W-AUTO SPORTというチームとコラボし、アメリカのWORKホイール、日本からもTRA KyotoのKei Miura氏が参加し、ボディワークを担当している。

1000馬力マシンらしい、豪快な幅のリアビュー。パガーニを彷彿させる4本出し丸形エグゾーストなど、とても珍車の魔改造とはいいたくないほどの見事な出来映え。

閉鎖的なこの数年、すっかりよどんでしまった空気をぶち破るような、こんなはじけたプロジェクトが今後も沢山出てきてほしいものである。

それではまた近々。

A prestissimo!!