FIATとABARTH

Bollito Misto Vol.232

いまでこそ別々のブランドになっているFIATとABARTH。

こちらをご覧の方には今更説明の必要もないかもしれませんが、そもそもは別の会社。

レースで名を馳せたチューナー「ABARTH」は、1949年創立。
FIATを中心に大衆メーカーの車両をベースに自社マシンやチューンナップパーツを販売し成功を収めていた。

欧州におけるブランド力は非常に高く、いわゆる名門として根強い人気がある。アバルト全盛期の60年代のFIATベースのモデルは、なかなか手が出ない価格で取引されている。

そんなABARTH社も1971年にはFIATグループ傘下に収まり、FIATのレース活動を担当しつつ、FIATのスポーツモデルとしてもその名を残すことになる。その筆頭であり、ラリーで実に3度のコンストラクターズチャンピオンをもたらしたのがFIAT ABARTH 131 rallyである。

つい最近田宮模型からもプラモデルが発売されたこの131は元はピニンファリーナのデザインによるボディを纏った、実にカクカクしたセダン。昭和のカーキチ(死語)には忘れられないクルマだ。


当時のFIATのレースチームの監督にインタビューをしたことがあるのだけれど、「誰が見てもカッコイイランチアストラトスで優勝するより、タクシーのような131で優勝することの方が嬉しかった」なんておっしゃってた。つまり、ギャップ萌えのあるABARTHとも言える。

そんな131のトリブートがこの695Tributo 131 rally

厳密な車名は

 ABARTH 695 tributo FIAT ABARTH 131 rally

のはずなので、ちょっとややこしい。

たとえ131を思い起こさせるのが、シートの刺繍のみだとしても、単純に131ファンとしては、敬意を表してくれたことが嬉しい。

ただ、その生産数はわずか695台だという…。

131 ABARTH rally はイタリア現地でも2,000万以上するクルマになってしまったから、せめてこちらとも思ったけど、どうやらこの695もすでにないのかもしれない…。

それではまた近々。

A prestissimo!!