「Retromobile 2」
前回に引き続き、パリの自動車イベント「レトロモビル」について。
日本で騒がれているテロ。しかし実際は拍子抜けするほどの平和っぷりで、
タクシーの運ちゃんなども「誰が騒いでるのかねえ…。」とどこ吹く風。
実際は何かしらの変化があるのかもしれないが、実は滞在中かなりの距離を街中を練り歩いてみたが、それでもなにかしら物騒なものを感じることは叶わなかった…。
それはともかく、レトロモビル。前回はメーカーのブースについての話を少々述べたが、レトロモビルのもう一つの(というか本来の)目玉はパーツと中古車の蚤の市。
今や、ドイツのエッシェン、イタリアのパドヴァと並ぶ、三大蚤の市イベントなのだが、今年はとにかく「ドル箱」車の目立つショーだったといえる。
ドル箱ってのは、つまり、売れば儲かるということなのだが、特にポルシェの356やナローの911の「イチオシ」っぷりが目立った。
残念ながら、どれも極上のレストアと呼ぶには程遠い「厚化粧」のものが目立ったのは残念だったが、それでも常に誰かが貼り付くような人気のほどは、さすがとしか言い様がない。
つい二、三年ほど前には洒落で買ってみようかと思っていたナローの不人気車「タルガ」などは一千万円を軽く超えるねだんがつけられており、思わず「あの時買っておけば…。」などと死んだ子の年を数えるような不毛な妄想を抱いてしまったりした。
また、これまでは庶民の足ともいえる、典型的なフランス車として2CVやサンク、プジョーの懐かしいモデルなどが、結構な数並んでいたのももう昔。前述の911はもちろん、ブガッティやアルファロメオのレアモデルがゾロゾロと並んでいた。
それにしても法外とも思える値段が横行する傾向には少々閉口してしまう。
100万が200万でもびっくりなのに、いきなり1000万とかというのは、こうした脈々と続く自動車文化イベントにおいては少々興ざめな現象といえはしないだろうか?
また、欧州では何かと話題になった「バーンファインド」つまり、さるお金持ちの倉庫からごっそり出てきたお宝オークションというのがレトロモビルで行われ、強烈な動員を叩きだした。
ちなみに、今のクラッシックカーの潮流として、プリザベーション・オークションというものが登場している。
これはレストアしてあるものよりも一切手を加えられていない、ホコリやサビすら積もっているような個体こそが本当のオリジナルという、ある意味強力なエビデンスを持った個体に価値を見出す流れも起こりつつある。
ちなみに今回、落札されたものの最高額は元オーナーがアラン・ドロンという Ferrari 250 GT California Spider 1961年モデル。
そのお値段、なんと18億円ほど…。
今から40年前、バスティーユの蚤の市としてスタートしたレトロモビルは、そうした超高額オークションすらおこなう、世界的なイベントにまで成長したわけだが、彼らもかなり富裕層を意識する段階に来ているようだ。
もちろんイベントとして楽しいので、まったく文句はないが、あまりにも自動車が投機対象になってしまうのはちょっと…。
というわけで、次回もパリ番外編、そしてトリノの渋いショーのレポートをしたいと思う。