丁度030という話数に達したので、どうにもこの数字をみると思い出すアバルトのことを書きたい。あ、正統派のアバルトマニアの方が読んだら眉をひそめそうなトピックであることは最初に断っておきたい。極めてニッチな話である。
FIAT ABARTH SE030。お詳しい方ならすぐにわかる、後のLANCIA BETA MONTECARLOのプロトタイプ。そして10年近くの時を経てLANCIA RALLY にまで繋がるプロトティーポ(ほんとはプロトーティポと発音)の祖先といった存在だ。
表紙の写真にもあるように、スポーツというかレース全盛、石油ショック前夜には実に多くのすばらしいイタ車が登場している。(先頭を走るのはもう一台の有名プロト FIAT ABARTH X1/9 PROTOTIPO)
ちなみに030の次031もあり、こちらは後にWRCで活躍するFIAT ABARTH 131 RALLYに進化していく。
前述のLANCIA RALLYが037。そしてLANCIA DELTA S4は038。
おなじみランチア・デルタ・インテグラーレは SE050である。なんだかサイボーグ009みたいでカッコイイのだ。
当時、旧世代からの脱出を図ろうとしていたFIATが、プロモーションを目的としてこうしたスポーツモデルを積極的に投入していたこの時代は、観る側にとっては非常に魅力的だったことは言うまでもないし、今のイタ車好きの多くはその洗礼を受けているといっても過言ではないだろう。
後の生産車バージョン、ランチア・ベータ・モンテカルロからは想像もできないような無骨で戦闘的なフォルム(しかもそれがピニンファリーナというから驚き)のみならず、その性能もかなりのものだったので、「男の子ゴコロ」を鷲掴みにするには十分なものだったことはご理解いただけると思う。
あまり現在のことと比較するのは、「昔はよかった…。」的な回顧録になっちゃうので避けたいところなのだが、合理的という名の屁理屈をかき集めたような今のデザインに比べて、なんと直情的で魅力的なのかと今更ながらに思ってしまう。
縁あって当時の監督である故ジョルジョ・ピアンタ氏とお話をすることができたのだが、その時彼の「こんなんで勝つか? というので勝つのが痛快なんだよ!」という憎い笑顔が忘れられずにいられない。
だから、クルマに夢を語らせようとするなら、やっぱりパッと見てすごい形にしてほしいと思うばかりだ…。 やっぱり愚痴か?
それではまた近々。
A Prestissimo!!