デヴィッド・ボウイが亡くなった。
69歳。ガンだそうだ。最近はロックレジェンドの高齢化が進むものの、思いの外の長寿化に無警戒だったが、まさかのスターが急逝した。
彼がどんな功績を残し、どういう影響を与えたのかはWikipediaなどでお調べいただきたい。今回は個人的な趣味が強すぎるとは思うが、あえてファンとして彼の死を偲びたい。
わかりやすく言うと、とてもイケメンでとてもセンスの良い生粋のロックスター。詩人とでも言おうか。ロックが「ロック」であった時代からのレジェンドという名が相応しい存在の一人である。
彼の名作は枚挙に暇がないが、中でも表紙の写真である「HEROES」という作品は有名な一つで、アルバムのタイトルチューンは今でも欧州のTVCMに使われるほど人気の定番である。
この作品のジャケットは日本が誇るカメラマン、鋤田正義さんの手によるもの。同氏は他にもT-Rexのマークボランなど、いわゆるロックレジェンドの
撮影を多くされた、これまたロック写真のレジェンド。
以前、その鋤田さんとお仕事をご一緒した際に、この「HEROES」の撮影秘話を聞いた。
鋤田さんの写真をいたく気に入っていたデヴィッドが、彼の友人で奇人(!)のイギー・ポップのジャケット撮影に鋤田さんを紹介したのがきっかけで、ついぞ日本へ同行したデヴィッドだったが、イギーの撮影中にふと鋤田さんが向けたカメラに何かを思いついた彼は、スタジオのある原宿の露店で買ってきた革ジャンを羽織り「あのポーズ」をサッと決めたというのだ。
本命のイギーのジャケットについては詳しくは聞けなかったが(正直、覚えてない…。すんませんファンの方。)、こういうことができる真のスターだと鋤田さんがおっしゃっていたのが忘れられない。というか、凄いとしか言いようが無い。
なぜなら普通、こういった撮影には相応な肝いりスタイリストがついて、文字通り気合の入った撮影をするものだが、まさか友人の撮影の合間とは…。
彼のアルバムは全て持っているが、残念ながらライブに足を運ぶことはついに一度もかなわなかった。
だから、ファンと言うにはおこがましいかもしれないが、それでも残念ながら最後のアルバムとなってしまった彼の死の二日前に発表された「Black Star」で、やっとご尊顔をと思っていたところだったのだ…。
本当のロストを今かみしめている。
これから、どんどん自分の青春時代や音楽観に影響を与えてくれたレジェンドたちの死を迎え入れていかなければならないと思うだけで、本当に辛い。
暗い話で恐縮だが、どうかお許し頂きたい。
Ashes to Ashes.
R.I.P.