つい先ごろイランの大統領ハッサン・ロウハーニがイタリアを訪れた。
イランは言わずと知れたイスラム国家で、大統領もイスラム教徒だ。
それがカトリックの総本山バチカンを訪れたのだ。
政治的な話は別として、彼らムスリムがイタリアを訪れる際の最大の問題は、数々のギリシャ&ローマ時代の彫刻の数々である。
イタリアの重要な建物の中には、ふんだんに彫刻や絵といった芸術に満ち溢れている。
ご想像のとおり、中でもこれら彫刻のほとんどは、男女ともに一糸まとわぬ姿が多く、公の場で女性の肌をさらすことが禁忌となっているイスラム教徒にとっては、まさにタブーの巣窟。
しかし、それでも少しでも多くのイタリア芸術を堪能してもらおうと、今回は大統領が訪れる場所の女性彫刻を白いボードで囲うという前代未聞の対応をしたのだ。
無論、イタリア政府としても今回のトップ会談を実のあるものにしたいのはわかるが、郷に入らば郷に従えの語源にもなったローマのことわざを覆すような行為は、なかなかの論議を呼んでいる。
イタリア首相のレンツィは、最大限のおもてなしをしたと息巻いているが、手放しで大賛成ということではないようで、ちょっとしたいざこざに発展した。
昨今、何かといじめの対象となってしまうイスラム系国家。とりわけイランの混乱ぶりは気の毒なくらいである。さりとて、片やローマの末裔、此方ペルシャの末裔となれば歴史好きならずとも観光の対象として最高のロケーションであることは間違いない。
私はこういう柔軟な対応こそイタリアの美徳と思うのだが、皆さんはどうだろう?
それではまた近々。
A prestissimo!!