振り返るとここ最近、やたらと旧車の価格高騰にばかり触れているが、やはりこのコーナーの性格上どうしても触れざるを得ない話題なのでご容赦いただきたい。
前回も予告したようにここは昨年2016年の北イタリア、パドヴァで毎年行われている旧車イベント「アウトモトデポカ」のレポートだ。
ここ1,2年の傾向として、とにかく希少性の高い車に高値がつく傾向にある。それはレーシングモデルしかり、戦前のモデルしかりで、とにかく手に入らないクルマにこそものすごい値段がついている。
市場原理からもそれはそのとおりなのであるが、完全にアートの域としてとらえられつつある旧車たちは、春のエッセンよりもさらにその色を濃くしていた。
わかりやすい現象といえば、来場者の多くがバイヤーと思われる人たちが急増しているということだ。
パドヴァは30年以上の歴史があるとは言え、少なくともイタリアによくある蚤の市の延長であることに違いはない。パドヴァという比較的富裕層が多く、さらにドイツやオーストリアに近いという地理的優位点を鑑みたとしても、やはり昨年の来場者にブリティッシュイングリッシュやフランス語が多く聞こえたのは、「時代」と言うものなのかもしれない。
売れるものが徹底的に買い漁られる…。
それがさらなる希少性を呼び、高値になっていく。
日本に多く生息している(厳密には「いた。」)ランチア・デルタなどその最たる例だ。いまや日本よりも欧州のほうが完全に高値になっているし、これからも上がるだろう。
旧車ファンにとっては悲しい出来事のように聞こえる部分もある一方で、ヤングタイマーと呼ばれる80年代あたりのクルマでさえ、そろそろ30歳を越えようという状況で、こうした市場高騰と価値向上は高いレベルのレストアを助長していることも事実だ。
価値があるからこそ、丁寧にレストアされる…。
つまりはより長く生きながらえる市場的素地ができるということなので、個人的にはこの状況を歓迎している。
何らかの事情、他ならぬ愛情で永らえてきた美しい車、楽しい車の命を、ここにきてさらに延ばすことができるというのは、ちょっとキレイ事にすぎるだろうか?
それではまた近々!
A Prestissimo!!