Vol.074 ランチア・テーマ その1

昨今吹き荒れている旧車ブームは、もとを正せば数多くのブランド復興と深い関連がある。アバルトなどはまさにその好例だといえるだろう。

 

 

 

フィアットxアバルトというのは、チューナーとそのベース車両という意味で、いってみれば「コラボ」だったわけだ。しかし、そんなダブルネームシリーズの中に「ランチアxフェラーリ」があったことを覚えていらっしゃるだろうか?

 

 

 

 

 

 

40歳代後半以上の世代の方なら、その存在を忘れるはずもないとは思うのだけれども、80年代の後半、ランチアは高級サルーン「テーマ」に当時のフェラーリV8エンジンを搭載したテーマ8・32というクルマがデビューした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そもそもランチア・テーマ自体は「ティーポ4プロジェクト」と呼ばれる、ランチア・サーブ、追ってフィアット・アルファ・ロメオの4社が参加した生産効率向上のためプラットフォーム共有プロジェクトから生まれたクルマだったのだが、ジウジアーロのデザインとイタリアらしいスマートさで、当時は国の要人から多くのビジネスマンに受け入れられた名車だった。

PSAグループ製のV6、デルタインテグラーレなどでおなじみの4気筒ターボ、本国ではディーゼルなど多種多様なエンジンが用意され、その一部は日本にも輸入され、今なお愛好家たちに大切にされている。

 

 

 

 

 

 

そのうちの一台が、8・32。通称テーマ・フェラーリである。フェラーリエンジンにあわせ、高級レザーインテリアの雄、ポルトローナ・フラウのシートと内装。ウッドをふんだんに使用したパネル類などが奢られ、いわゆるエグゼクティブ(いまや死語か?)な人たちの心を鷲掴みにしてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もちろん、当時はランチア、フェラーリ両社ともフィアット傘下にあり、言ってみればそのコンポーネンツを共有したに過ぎないが、単なるパワートレインの導入ということにとどまらず、ある種の「いいとこ取り」にならないよう、ランチアはもう一つの重要な「ストーリー」を添えたのだ。そこにこそ「イタリアの妙技」を垣間見ずにはいられないのだ。

 

つづく

 

 

A prestissimo!!