Vol.126 巨星また逝く

©Strail Times
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去る8月末、フェルディナンド・ピエヒ氏が亡くなった。
ポルシェ博士の孫にして、VWグループの総帥。御年82歳だった。

 

©Porsche
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ここでドイツ車ってのもおかしな話かもしれないが、実はそんなことはない。
ランボルギーニやブガッティなど、名だたる名ブランドが今も存在し続けるのは、まぎれもなく彼のおかげ。
現在のAUDIがあるのも実は彼のおかげ。もっというと、今のポルシェのブランドだって彼のおかげ。初代VWゴルフがジョルジェット・ジウジアーロによってデザインされたのも、彼のイタルデザインが最近VWグループに売却されたのも、すべてピエヒさんが関係している。

©AUDI
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詳しい話はカーグラフィックやその他専門誌でぜひお読みいただきたい。近代自動車業界における大物中の大物の一人なのである。

 

 

 

そんな大物が優秀な経営者なのはいうまでもなく、同時に厳しいことでも有名。私のような小物が当然接点などがあるはずもないのだが、何度か欧州のモーターショーでお見かけすることがあったが、新商品発表の際にピエヒさんがいたりしたらもう大変で、その時のVW関係者の異常な緊張ぶりったらもう…。これぞカリスマってものなんだろうと実感したものだ。

 

 

ところで、まもなく東京モーターショーが始まるが、先のフランクフルトモーターショーでも規模縮小が嘆かれている。上海以外は、どこも縮小傾向なのだろうが、東京はせめて頑張ってほしい。みなさん、奮って足を運びましょう! 日本の経済の2割は自動車で成り立っているのですからね。
そんな自動車業界。文字通り荒波に飲まれているわけだが、いったい何が死に絶え、何が生き残り、何が新たに生まれるのか本当のところは誰にもわからない。
ただ、ピエヒ氏が重んじた車輪が付くものに対する「情熱」はこれからも変わらないと思う。そこから紐解けば、車輪業界において「何がいちばん大切なのか」がもっともっとに明確になっていくと思う。

 

技術は時代とともに移り変わるし、便益を求めるのは人の性。しかし、人生を生きるという意味で、身の回りの道具がその一翼を担うのもまた真理。だから、安いから、便利だからというだけで人は道具を使わない。

やはり、自動車には「愛すべき」「愛されるべき」魂のようなものが宿ってほしいと切に願うばかりである。

 

それではまた近々

 

 

A Prestissimo!!