なんとも恐ろしいタイトルだが、これは事実だ。
甘美な誘惑に身を落としてしまったタレントたちの話題が引きも切らないが、これは車のハナシ。
まだバブルの華やかかりし頃、ちょいワルならぬ、本ワルオヤジたちを虜にした一台といえば、ランチアテーマ832をおいて他はないだろう。
かくいう筆者も所有していたことがある。かなりの車遍歴はあると自負しているが、とびきりの一台という意味では、おそらくこの832が最高だったと思う。オリジナルともいえるフェラーリ308よりも、魅力の総合評価では上回っていると言い切れる。
なぜいまさらこんなハナシをするかと言うと、実は当時の「ご同輩」から、今一度832に乗りたいというハナシが出ているのだ。もちろん、全力で止めた。個人的な最高「だった」といっているところからもおわかりのように、過去のものなのだ。そう、いまは思い出の中に生き続けている。
まるで映画のような、男女の燃え上がる恋愛など体験したことはないが、832との体験は、他のどの車でも得られなかった「特別」があった。
FFだし、トルクステアだって結構ある。でも、「具合が良い」という言葉以外にいい表現が見当たらない。
ジーパンなどで運転することを想定していないデリケートなポルトローナ・フラウの内装。少々華美に過ぎるとも思えるウッド類。一見なんのことはないセダンなのに…。
Ferrari vs Fordでも出てくる、元FIAT会長ジャンニ・アニエッリだって、ワゴンに改造して乗っていた。
同時期のマゼラティ・ビトゥルボなどのチャラさ(スマヌ)はなく、物腰低くも主張は強いという絶妙さが魅力。
ドライバビリティだのトラクションだのエンジンパワーだのって、誰でもわかりそうな部分以外も、すべてきっちりと大人の勝負をしてくれた稀有な一台。それが832。
アノ頃のフェラーリなら当たり前だけど、2万キロに一回は必ずタイミングベルトを交換せよだなどとかかれたユーザーズマニュアルなど、おしゃれと身だしなみ同様、お手入れを欠かすことなど許されない一台。
今では、パーツも含めて、いろいろと読めない車になってしまったけれど、苦労は買ってでもすべしという言葉に習い、死ぬまでに一度は経験してもいい一台かもしれません。少なくともイタシャ好きを語るならね…。
なお、コレッツィオーネでは販売しておりませんのであしからず…。
それではまた近々。
A Prestissimo!!