実は世界的に評価されているのに、日本ではなぜか不遇を託ったフィットパンダ169、通称ニューパンダの第二回だ。
前回、いま日本で流行の兆しのアルイタリアンスイーツ、マリトッツォを引き合いに出し、ヨーロッパであれほど人気があったのに、日本での169のあまりの不人気さに一矢報いるべく書いている。
パンチこそないが、経済的でよく走るエンジン。発売後15年以上経過しても実によく考えられたユーザーインターフェイスを持つ操作系や内装のデザイン。
タッチパネル、いやiPhoneすら流通していなかった2003年とは思えないほど、今のカーインフォテインメントに即したデザインだったりする。
エクステリアのデザインだって、デビューから20年近く経とうとしているけど、なかなか古くさくならない。さすがはベルトーネデザインである。
だのにだ。DENSO製の高性能エアコンがついているので、日本の夏すら快適なレベルが保てる。おしなべて冷房の弱い欧州車にとってこれ快挙としか言えないほどのイノベーションである。
ちなみに全世界で大人気の現行500はこのパンダがベースになっている。
141パンダでも評判が良かった四駆モデルも169には存在する。
実はこの4輪駆動モデルのヨーロッパにおける人気は強力で、イタリアのみならず悪路走行大好きなイギリス人の間で未だに高い人気を誇る。
こちらを見て頂ければご納得頂けると思うが、なんといってもあのレンジローバーと悪路走行を比較しても勝るとも劣らない上に、値段が1/10ときてるのだから人気も当然だろう。
もちろん遅いけど140km/hは出るし、よくクルマはアシ!という表現を聞くが、まったくもってその通りな一台こそがこの169パンダだといえる…。
その上シンプルでメンテも楽で多くのDIY動画もアップされている。おまけにエンジンは猛烈にタフで20万30万キロを超えるものも全く少なくない。ベンツじゃないのに…。
ヒットして当然という一台なのに。思い返せば日本はそのころプリウス全盛の、自動車砂漠時代だったか…。
それにしても日本での169のマイナー車っぷりは半端ない。
アルファのMiToやフィアットの500など、同時代の他のイタ車こそ見かけるものの、169パンダを見かけるケースはほとんどない。
ここまで169を推すのは、他でもない購入したからこそここまで語調が強いわけだが、登録で訪れた陸運局ではプロの車屋さんから
「あー、これフィアットなんすか? なんていうモデル? かわいいですね!」
なんて言われる始末。
どんだけ知名度低いのよ…。
日本人ではコンビニでも買えちゃうマリトッツォは、一部地域のイタリア人しか知らない…。
イタリア人で知らない者はいないほどの有名車両169パンダ。でもイタリア車大好きの日本人の間ではマイナー…。
まあ、いろいろあるもんだなあと思った次第であります。